指定管理者ビジネス

1.指定管理者制度は大きなビジネスチャンス

 指定管理者制度の対象となる施設は、公園、スポーツ施設から葬儀場まで多岐に渡ります。自治体所管の施設は全国で20万とも30万ともいわれ、事業規模は計10~15兆円と予想されています。そのほとんどが指定管理制度の対象となるので、そこには膨大な潜在ビジネスチャンスがあります。  総務省の調査によると、全国で指定管理者制度を導入している施設は平成30年4月現在で76,268施設で、前回調査時よりも若干減少しました。このうち公募されている施設は全体のほぼ半数(49.1%)で37,448施設で、公募の割合が増えたため、前回調査より公募施設数は1,700施設あまり増えました。

※指定管理者制度導入施設と公募施設

  制度導入施設 公募施設
H18.9 61,565 17,913 (39.1%)
H21.4 70,222 28,088(40.0%)
H24.4 73,476 32,187(43.8%)
H27.4 76,788 35,706(46.5%)
H30.4 76,268 37,448(49.1%)

 また全体の4割の施設で民間の企業等(株式会社、NPO法人、学校法人、医療法人等)が指定管理者になっており、この比率は前回調査時よりも2.5%増加しました。

※指定管理者の中で民間企業等の割合

都道府県 2,617施設(37.7%)
指定都市 3,734施設(46.1%)
市区町村 24,451施設(39.5%)
合計 30,802施設(40.0%)

2.指定管理者市場への参入動向

 正確な調査があるわけではありませんが、弊社が係わっている施設をみますと、指定管理者への参入企業は年々増加しているものと見られます。新設の施設ですと、応募企業・団体が2ケタと言う例もあります。継続の施設でも比較的新しい施設の場合、4,5社程度の応募があります。 また応募企業・団体は外郭団体、NPO法人、中小企業、大企業子会社まで多岐にわたっています。いずれの場合も自社の得意分野での参入が多く見受けられます。

PPPの最近の動き(指定管理者制度に続く動き)

 PPPとは、Public Private Partnership の略で、公共さビスの提供に民間が参画する手法を幅広くとらえた概念で、業務委託や指定管理者制度、PFI、コンセション(公共施設等運営権)等が含まれます。PPPは官民連携とも呼ばれ、民間資本や民間のノウハウを活用し行政サービスの効率化や向上を目指しています。

PFI

 公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方。比較的古くからある手法で、少しずつですが普及してきています。

運営権(コンセション)

 公共施設管理運営の仕組みとして、「指定管理者制度」、「PFI」に続き、「運営権」の導入が検討されています。運営権はPFIの一方式で、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式です。 経営創研では、運営権制度についても積極的に情報収集を行っています。  

指定管理者ビジネスの魅力

 指定管理者制度では、利用者の増加や効率的な運営によって余剰金が発生した場合には収益として計上することが認められています。しかし指定管理者事業の対象となる公共施設は、基本的に収益を上げるための施設ではないことから、大きな儲けは期待できません。また指定管理料として税金が投入されていることから、大きな利益が見込める場合は、指定管理料の削減を提案したり、利用者に利益の一部を還元することが求められます。したがって事業への参入によって巨額の利益を上げることは期待できません。  しかし一方で次のようなメリットが期待できます。

  • 新たな設備投資が必要ないので、リスクが少なく確実性が高い。
  • 収入に対する利益率は低いが、投資が必要ないので、投下資本に対する利益率は高い
  • 指定管理料として一定の金額が保証されているので、確実な収益が期待できる。
  • 本業以外に事業を展開する一つの手段として、指定管理事業に参入することにより従業員の意識の向上に役立つ。
  • 本業と関連する事業の場合、業務を拡大することによって規模のメリットが期待できる。

指定管理者事業のリスク

 指定管理者事業の最大のリスクは期間が決められていること(概ね3~5年)です。もし継続して指定が取れなければ、当該施設で雇用していた人材が宙に浮いてしまいます。現場の担当者は次期の指定管理者に継続雇用をお願いするにしても、管理者まで雇用してもらえるとは限りません。そのため指定管理事業の担当者は期間を決めた契約社員として雇用することになりますが、本社の人材を投入する場合には、指定が取れなかった場合の人材の吸収方法についても十分に考えておく必要があります。

  また以前ほどではありませんが、財政難から指定管理料は年々下げられる傾向にありますので、経費削減や増収策についても十分に検討しておく必要があります。